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■We Love Makuhari■

千葉県経済を覚醒する「マクハリ」

幕張新都心の次のステップは、
情報産業、知識産業のための都市環境づくりだ。

早川恒雄■千葉銀行頭取

今起きている変化はこれまでと決定的に違う

早川写真
 今、日本経済に起きている変化というのは、これまでのものとは決定的に違います。空洞化というのも、どこかの工場が海外に移ったというレベルの話ではなく、根こそぎ中国にもって行かれている。日本の世界最高レベルの金型部品でも、プラスチック成型などの簡単なものは、もう中国でどんどん製造していて、いつのまにか中国企業に食われています。
 中国がWTO加盟ということになって、商取引のルール、ビジネスマナーまで含め、ますます中国企業の競争力がついてくることになるのでしょう。
 中国の西方には、欧米企業が今どんどん進出していますが、日本企業は主要都市以外の地域には、全然手をつけられていない状況があります。
 日本ではコンシューマー市場を見た場合、何か新しい商品をどこか1社が出すと、すぐに皆揃って似たような商品で追随します。もちろん自由競争だから良いとしましても、それがまわりまわって、どこかで中小企業やベンチャーを寄ってたかってダメにしているという構造が、まだあるのではないでしょうか。
 大企業も苦しい時期ではありますが、このような時期にこそ度量、節度のようなものが求められているのではないでしょうか。昔の企業が持っていたプライドが最近あまり感じられなくなっており、日本の社会の仕組み自体がおかしくなっているような気がします。
 日本の大企業は、広い目で日本経済を考え、ベンチャーと共存共栄していくという視点を本気で考えていかないと、国際的競争力が取り戻せないのではと危惧しています。


マクハリの波及効果で外国人株主持株比率が倍増

 ここ数年来、私どもは海外IRに力を入れています。過去2年ほど、主としてヨーロッパの機関投資家を訪問するIR活動を行っていて、改めてマクハリというブランド力の強さを感じています。どこの国でも、マクハリというだけで、すぐにわかっていただける。千葉に興味を誘因する要素として、その寄与の大きさは測り知れないものがあります。
 海外IRを始めて3年目になりますが、外国人株主の持株比率が平成12年9月期末の4.9%から平成13年3月期末では10%以上へと倍増しました。予想以上の成果が、数字にもはっきりと表れています。ただ、ここまでの波及効果は、誰も想像が及んでいなかったのではないでしょうか。マクハリが一つの世界ブランドになったということは、千葉県経済の潜在力を覚醒させるという意味で、大変な効果をもたらしたと思います。
 現実の都市機能の集積も、IT、情報関連分野で予想を超える展開をみせており、ワールドビジネスガーデンやテクノガーデンといったオフィスビルに、非常に有望なベンチャー型企業が多数集まってきています。
 県の最初の構想では、幕張にインキュベーター施設を作ろうとか、IT系の企業を集めようといったことを格別考えていたわけではなかったと思うのですが、幕張の立地環境の良さが評価されているのでしょう。
 こうした動きを積極的にとらえて、ベンチャー支援を主たる目的とした施設を作るなど、しかるべき都市環境を整備していくと、次のステップが非常に面白くなるでしょう。グローバルな情報産業、知識産業が集積して、場所や時間を超えて24時間稼働し続けるような都市の、新しいワークスタイルをサポートしていくといった視点で、他にない展開を狙っていくべきです。


社会的事業としてベンチャー支援に取り組む

 私どもは、地方銀行のなかでもベンチャー支援に非常に力を入れていると自負しています。グループでベンチャーキャピタル事業を行う一方で、ひまわりベンチャー育成基金という財団を設立し、地域に貢献する社会的事業として力を入れています。
 この基金では、ベンチャー型企業を対象に年2回募集をかけて、審査委員会審査を通ったところへ助成金や家賃補助金を交付しています。事業化支援、特許取得など、さまざまな経営上の支援サービスも提供しています。4年目を迎え、助成金交付先は約40社、家賃補助先は約20社に達しています。助成対象となったすべての企業が順調に事業活動を展開しています。
 基金は、企業の方々から寄付金をいただき、これに千葉銀行が集まった額と同額以上を上乗せしています。賛助企業は現在14社を数えています。
 また、基金では経済講演会のほか、関東経済産業局や千葉県、千葉市など当局と連携し、公的支援活用・施策相談会などの支援活動を行っています。資金はすべて財団の運用収益から捻出して、起業家の皆さんにはご負担をかけずに無料で提供しています。こうした事業化支援を、もっと広げていきたいと考えています。
 審査委員は大学の先生や技術系の企業の社長さんなど、7人の方にお願いしていますが、毎回50社近くも応募が集まりますので、これら全部を審査することは、量的にも質的にも並大抵のことではありません。ベンチャーを評価するというのは、こちらもすべてが勉強で、学ぶべきことが非常に多いと感じています。
 起業家の方々には、学生の頃から何かやりたいと思っていたような、非常に若い方々と、長い間企業の中で働いてこられて、会社の中で自分の力を出しきれないと感じて独立される方と、大きく2つのタイプに分かれるようです。後者は意外と年齢層が高く、50代後半〜60代の方が多くみられます。


幕張のまちづくりへの課題と期待

 日曜日の幕張のフリーマーケットのにぎわいはすごいです。ここが良い、あそこが良いとなれば、多くの人が集まってきます。何かを持ち寄って皆で売り合うというのも楽しいのでしょう。広い土地というポテンシャルを生かして、人が自由に参加したり、散策できるような仕組みが、もっとほしいですね。
 商業施設は現在、低層利用になっていますから、将来的な空間のポテンシャルはまだまだ高い。このあたりを踏まえて、将来展望を描いておけば、幕張の未来は明るいと思います。IBMは99年に新棟を増築して研究開発部門をさらに移転してきていますし、機能がもっと集まれば、相乗効果で幕張はもっともっと都市として発展すると思います。
 我々企業も、具体的に行動していくべきでしょう。私どもも幕張新都心に支店をもっていますが、やはり地元の銀行という立場を生かして、まちづくりやネットワークづくりの媒介者としての役割を積極的に果たしていきたいと思っています。
 現在、「メッセ会」という、新都心進出企業の社長さんが集まって意見交換する会を定期的にもっています。大上段に振りかぶった議論ではなく、例えば、休日の幕張の駐車場運用管理のもっと良いシステムとか、現実に必要とされているものを、一緒になって考えていきたいと思っています。また、都市インフラとして熱供給システムがありますが、立地企業のコスト負担感が増しています。このあたりも今後研究会を作って、活用の仕方を考えていくべき課題だと思います。
 幕張には、博多の屋台街のようなにぎわいもほしいですね。しっかりとしたルールで、何時から何時までオープンすると決めて、調達や清掃のシステムをうまく作るなど、何か都市としてのふくらみをもたせる新しい試みにも、企業庁さんでぜひアイデアを練っていただきたいところです。

はやかわ・つねお●1935年生まれ。1958年千葉銀行に入行。東京事務所長、大阪支店長、地域開発部長などを歴任した後、1988年に取締役に就任、常務、専務、副頭取を経て、1997年6月頭取に就任。

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