特集●マクハリ第二創成期
■特別対談■
21世紀の幕張新都心
――マクハリへ。 夢のある話をしよう。(2)
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歴史・伝統・文化を蓄積していく
仕掛けを |
月尾●都市の魅力としては、ますますどこにでもあるものではない固有なもの、他では得られないものが重要になってきます。
幕張にないものは、歴史・伝統・文化です。これを早急に作る仕掛けを作らないといけないのではないでしょうか。分かりやすくいえば、伝説を作るということですね。例えばマンハッタンでいえば、フルトン・モールという、200年もの歴史ある魚市場の建物を改修して、土産物店やレストランが並ぶ楽しいショッピングセンターになっています。
残念ながら、幕張新都心はまだ13年ですから、歴史や伝統の蓄積をベースにすることができない。その蓄積を作るためには伝説を作るということが早道だという気がします。分かりやすい例でいえば、アメリカで流行っているレストランがオープンしたとか、有名人が経営している新しいスタイルのレストランがあるというような話題作りをして、それを文化に結びつけていくようなことが必要です。
堂本●房総の方に行きますと、大きな茅葺き屋根の家がまだありまして、こういう家を使ってレストランをやられている方などもいらっしゃるんです。お客さんは、囲炉裏を囲んでのんびりして、それから周りの自然の中を散策してと、そういうことがとっても楽しいんですよ。
幕張新都心の近くにも、千葉の歴史ある街並ですとか、たくさん残っているんです。そういう歴史を、ちょっと継ぎ木をしてやるだけでも、面白いアイデアが生かせるように思います。
この頃は、民芸調が好きな方、カントリー風が好きな方と、好みが多様化していますから、枠にとらわれずいろんなことが考えられますね。東京の赤坂に「黒澤」というお蕎麦屋さんがあるんです。店内の内装やインテリアは全部、黒澤映画の世界になっている。
例えばシネマコンプレックスと連動してそんな個性的なアイデアのお店が結びついたら、面白いでしょうね。
月尾●産地直送とか、特別注文の材料とかいうことは大事な要素です。長野県の小布施という町に「小布施堂」という店が土蔵などを利用して、雰囲気のあるレストランを開いているのですが、感心させられるのは、何事にも理由があるということです。例えば、この魚は今日たまたま北陸から入手できましたとか、この野菜は専属の農家に特別に作ってもらっていますとか、食事すべてに、それなりの理由がある。つまり、伝説があるということです。
伝説には、大変な価値があります。知人に、東北の牧場で放し飼いの養鶏をしている人がいるのですが、そこの卵は1個200円もする。10個パックで2000円ですが、これがなかなか手に入らないくらいの売れ行きです。昔ながらの卵ですが、価値は10倍になる。そういう伝説となるような商売というのは、伝統のない新興の土地でも、ゼロから始めることは可能です。
ここに売っている商品の背景には、こういう伝説があるということを蓄積していくのが、重要だと思います。
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国際的戦略のなかで
独自性を打ち出していく
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月尾●幕張に、研究機能がさらに加わると、大きな変化があるはずです。
IT、生命、ナノテクノロジー、環境が、現在の政府の基礎研究の4大テーマですが、そうした先進的な研究機能の立地は、国際的な戦略で推進しないかぎり成功しません。アメリカのIT産業にしても、成功のキーワードはIC、つまりIndia and Chinaだというわけです。中国人から年間5〜6万人、インドから4〜5万人の留学生がやってきますが、彼らがアメリカに残って、新しい産業を支えているわけです。
日本も、日本人だけで研究していても駄目で、先進的な研究機能は必然的に国際的な環境でなければならない。そういう研究機能が集積されると、それに応じて住宅や遊び、教育などにも変化が要請されてくると思います。
堂本●大学院であるとか、あるいは医学部であるとか、そういったものがあると、やはり都市の雰囲気というものはずいぶん変わるでしょう。
例えば、東京大学の柏キャンパスに、宇宙研究所と物性研究所がすでに移転してきていますが、さらに環境系もこちらへ移転してきます。
月尾●環境という分野は、これからますます研究対象領域の幅が広がっていきます。都市の屋上緑化研究もかなり盛んになってますし、情報環境、バーチャル環境、ナノテク環境といった人工環境の研究も1つの領域を形成しています。そこではローテクもハイテクも重要です。堂本知事は、環境のご専門ですから言うまでもないと思います。
堂本●DNAも環境とおおいに関係があります。千葉県のかずさアカデミアパークも「DNA東京ベイ構想」といったかたちで、首都圏の基礎研究機関と戦略的に連携を取りつつ、グローバルなネットワークの中での研究展開を進めています。
幕張もそうした広い視点、首都圏あるいは世界の中での幕張の研究開発機能という位置づけで、ぜひ考えていきたいですね。環境の研究所など、幕張新都心で実現できたら、本当に素晴らしいと思います。
月尾●そこに「幕張でなければ」という独自性を、どう一体としていくかが大切なところです。
いずれにしても研究というのは、最大の労働集約産業ですから、ますます「人」がキーワードになっていきます。
堂本●そうですね。やはり人にとって魅力ある都市であり、また魅力ある人が集まってくる都市にしていきたいですね。21世紀という時代を考えたときには、まだまだ幕張新都心には大きな可能性がありますし、その新たな展望を開いていきたいと考えています。
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どうもと・あきこ●
1932年生まれ。TBSで報道番組やニュース番組の制作に携わり、1980年、報道ドキュメンタリー「ベビーホテル」で 日本新聞協会賞・放送文化基金賞・民間放送連盟賞などを受賞。1989年、参議院議員に初当選。IUCN(世界自然保護連合)副会長、GLOBE(地球環境国際議員連盟)第5代世界総裁などを歴任し、環境基本法、生物多様性条約、NPO法など多数の審議・立法活動に関わってきた。1997年にはUNEP(国連環境計画)の「環境に貢献した25人の女性リーダー」に選出される。2001年3月、千葉県知事に初当選。
つきお・よしお●
1942年生まれ。専門はメディア政策。 名古屋大学工学部教授、東京大学工学部教授などを経て、1999年東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。内外の都市計画に携わる一方、地方制度調査会、情報通信審議会委員などを歴任。現在は総務省総務審議官を兼務する。著書に『贅沢の創造 21世紀・技術は芸術を目指す』『変革するは我にあり』、編書に『原典メディア環境 1851-2000』『サステナブル社会への道筋』他
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