■ケーススタディ■
幕張・水際線を遊ぶ
構成・文責■編集部
水辺と都市、水辺と人との出会いを創生するために何が必要なのだろうか――。
幕張新都心の第2ステージに向けた課題を整理する。
海のサイン、予感が欲しい
東京駅から京葉線に乗り、八丁堀の先で電車は地上に出る。新木場を過ぎたあたりから右手に東京湾が現れる。電車は、荒川、江戸川を渡り、海岸に近づいたり離れたりしながら海浜幕張駅に着く。天気が良ければ、東京湾の対岸に横浜、さらに富士山を望むことが出来る。
海浜幕張の駅を降りて、海岸に行くには、幕張メッセを目指し、海浜大通りをわたって海浜公園、マリンスタジアムの脇を通ることになる(距離約600m、徒歩10分弱)。この駅からメッセ、海岸につながる一直線の道路(国際大通り)から、海を見ることはできない。通りを突き抜けた向こう側に、何もない広い空が広がっていることが、かろうじて何かしらの広がりを感じさせるとしても、それには景色を読みとる能力を必要とする。
海へのアクセスをもっと自由に
さらに、海岸に近づいても海岸と都心部を横に何列にもブロックする様々な障壁が、視線とアクセス(進入)を阻んでいる。限られた進入路、分厚く密集植樹した防風林、さまざまな「禁止」「注意」の看板。ようやく、懐かしい砂道の狭い登り勾配を歩くと、突然のように海が開ける。
海はいつでも「独立排除的」に海である。ただ、海がある、それだけだ。3月はじめの海岸は、女子高校生の数人のグループが休憩所でおしゃべりをし、外国人のカップルが一組のんびりとベンチに座り、犬をつれた女性が波打ち際で戯れていた。
海岸線はあくまでも埋めた海岸特有に一直線で、たとえば、同じ人工海浜であるハワイのワイキキや、高知の桂浜のような景観のドラマツルギーがない。前ページの彦坂氏のプランは、劇場構成としてのランドスケープ、人工であれ、自然であれ、人がイメージ的に望む理想プランを提案している。
リゾートオフィスへの夢想
幕張新都心が、都心のオフィスとは違った新しいワークスタイルを提唱したとき、その最大の資産は「海」であった。かつて茫漠とした埋め立て地に、新しい知的産業集積を作るとき、その地は、働く人々にとっては職住接近のリゾート型オフィスであり、そのような環境が、新しい時代の知的競争社会を生き抜く雇用環境だと考えられた。
「丸の内とは違った勤務スタイルを作れば良いんですよ。別に会社の机にいなくても、幕張の海にでも行ってボーっと考えていたり、海岸を走ったり、パソコンを持ち込んだりしていればいいんです。なぜ、そうならないんですかね?」(下河辺淳・東京海上研究所理事長)
幕張の勤務者は何らかのかたちで情報産業に関与している職種と職能が大半を占めている。そこでは、個人のクリエイティビティをどのように発揮させるかが、経営的課題である。その構想の中で極めて高品質な、高福祉型のオフィスビルが作られたが、逆にそれが「潮の匂いや、波の音」を疎外したのかも知れない。ほとんど、オフィスの中に閉じこもり、一日を過ごす。
オフィスビルから、海を望むことは出来るが、寄せる波打ち際にまで行くことをしない。海という資産を、思索の場として活用するには、さらに成熟する時間が必要なのかも知れない。
幕張の海を「遊ぶ」ために
東に花見川、西に浜田川、南を東京湾に面し、水に囲まれた幕張新都心。幕張の水際を遊ぶには、何が必要なのだろうか?
(図に示したのは整備が必要と思われる施設・機能の一例)
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