現在、さまざまな学習ニーズに応えるよう、とりわけ大学を中心に制度づくりや新しい試みがすすめられている。しかし、急速に起こっている学習ニーズの多様化と高度化に対応したものとはまだ十分になっていない。
とりあえず、最近起こっている話題から見てみよう。
(i)大学の社会人特別選別、聴講生・研究生の受け入れなど、社会人の再学習機会を提供する動きがある。慶応大学や、一橋大学などのビジネススクールの開設は、大学の新しい事業機会の創設としても、また、「金融工学」などより実践的な技能に対応した社会人の実学カリキュラムの提供としても期待度は高い。
(ii)高度な実務修得が、大学や、企業内では不可能なことを背景に、民間で新しい技術、技能を提供する各種の専門学校も登場し始めている。例えば、マルチメディアのコンテンツ制作技術を専門に教育する「デジタルハリウッド」は、大学生や企業に就職した後辞めた若者達でにぎわっている。また、国際会計基準の適用を迫られている時代状況を反映して、アメリカの会計学を企業の実務者や税理士に教える夜学型の専門学校が昨年来ターミナル駅近くの雑居ビルに看板を掲げはじめた。
(iii)少子化による学生数の減少に対して、地域大学連合の動きも活性化している。京都などは人口の10%程度が学生だという条件を背景に、大学を地域活性化の核に据えたインターユニバーシティとして単位の相互互換をはかり、地域としての学生サービス向上を目指している。
(iv)千葉県においては全国に先がけて「千葉県私立大学間の単位互換に関する包括協定」(1997年10月)を結び、千葉県内の22の私立大学、15の私立短期大学が、4年制で30単位までを他校の受講で認定することとしており、さらに、1999年度からは放送大学(千葉市・幕張)とも単位互換包括協定を結び放送大学の単位が参加校では認められることとなった。
(v)大学生が学外のボランティア活動への参加や、職業理解を高める企業へのインターンシップに際して単位認定する試みが始まっている。
(vi)国立大学の独立行政法人化により「知のマーケット」の中で競争を強いられる社会環境が整い始めた。
これらの一連の動きを見ると、従来、外部に対して閉鎖的であった大学が、ようやく環境変化や外圧によって、少しだけ門戸を開きつつあることが分かる。そしてこの動きは一挙に加速することが考えられる。
数年前まででは考えられない最近の金融業界の動きなどを見るにつけ、実はとてつもない地殻変動が教育を巡っても起きつつあると考えた方が正しいのではないか。
大学批判は単に外部からだけではなく、内部からも起こっている。