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interview■都市を造り出す人材像について

都市工学の三十年を振り返る (2)


都市の原則とは何か

 「都市」というものには五千年の歴史がある。歴史を持たない都市は存在しない。見渡せば、「昨日出来た都市」ばかりが目につくが、そんなものは理論的には未だ「都市」とは呼べないものである。都市は時間を経る中で、「都市になっていく」ものなのだ。

 悠久の歴史の中から、「都市の原則」や「守るべき本質」といったものを抽出し、現代に生かしていくことこそが都市計画・都市開発の真髄であると信じてきたし、今もそれは変わらない。

 もちろん都市というものは、地域、時代、民族によってそれぞれ違う様相を呈しており、一様にとらまえられるものではない。「都市は事実として変わりゆくものである。なぜ変わるのかと言えば、それは時代が移り変わるとともに次第に都市が原則を守れなくなってくる、そこで原則が守れるように対応を変えるから都市の様相が変わるんだ」という仮説を立て、その一見つかみどころのない「都市の原則」を、普遍的なものとして抽出し、実践的な理論に展開していこうと試みた。

 「古い原則に捕われていたら時代遅れになる」という意見もあったが、私はそこにあえて取り組んだ。もともと未来都市を追求することばかりでは、都市の原則など学びうるはずもない。「未来都市像」が先にあって、それに合わせて住宅や建築が恣意的に変えられていくことなど容認できない。全体が優先されて、個々が決められるのではなく、なんとしても個々の真実に根ざして全体を固める方法論を見い出さねばならないと考えてきた。

 それでは「都市の原則」とは何か。私なりの整理であるが、都市に見られる共通の現象を手掛かりとしてたどれば、第一に大勢の人間が密集して住んでいること、第二に大勢の人がそれぞれに違う生活をしていること、共通の現象とはこの二点に集約され、都市には、この二つの現象が持続できるよう、諸要件が整っていることになる。

 密集が引き起こす事態には、衛生面での伝染病などの問題もあり、また個人や組織間での利害の対立、不平等等の問題がある。また一方で、多様性に富む成員が、異なる機能を分担し合っていくので、自ずと相互の連携が生じて、「高度な機能体」となっていく。また、都市にはトラブルの制御・調停能力が形成され、成員たる市民があまねくそれを受け入れて生きていく、都市とはそういう資質を身につけているものだ。

 また都市の基本条件である「多様性」の本質は、人々が異なる生き方を認め合うことだ。一つの価値体系で優劣を規定しないというのが、都市の本質だ。都市の最も大切な核の部分は、人それぞれに生きるんだという人間観が成立していることであり、異なった価値観を許容する心と、「公正」という理念が芽ばえていることである。人それぞれに生きるんだということを市民が自覚し、個々人の活路を自らの力で見い出していくところにこそ、市民的な気質というものが生まれる。

 これらの原則が欠如したままに、経済的利益の追求という価値体系のみが支配すれば、都市の多様性は貧しい経済原理で優劣づけられ淘汰されていく。すると都市は次第に画一化され、多様な豊かさは消え失せ、もはや都市とは呼べない空間へと退化していくことになる。

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