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対談■都市とメディアとネットワーク

デジタル時代の憂鬱な世代と
インターネット時代の明るい国家を考える(2)



情報公開という名の
巧みな人民コントロール


松原■あの事件後、ホラー映画を規制すべきだという意見が出てますよね。僕は、なかば反対、なかば賛成なんですよ。

 少年法の論理っていうのは、「少年には可塑性があるから、大人とは同じに裁かないほうがいい」ということで、僕もなかばそう思います。その論理からみれば、可塑性があるんだったら、やっぱりホラーなんか見て洗脳されちゃまずいって話になる。成人と少年を分けるという現行法でいくのなら、ホラーだって同様に規制すべきというのが正論でしょう。

 しかし実際のところ、そういう悪場所的なものがあるから、社会のバランスがとれるという側面があったりもする。

橋本■確かに、僕もそう思います。インターネットって、使い方によっては、かなり人間の欲求不満を抑制できるメディアだと思いますよ。たとえば、インターネットが日本にも普及し始めたころ、アメリカのホワイトハウスが一般からメールを受け付け始めて話題を呼びましたけど、そういうメール送るのって、ガス抜きの役目を相当果たしてますよ。テロリストじゃなくたって、普通の市民だって、心の中じゃ「石投げたろか」って思ったりしてるわけです。それが、メールに罵詈雑言書き連ねて、エイヤっと一発リターンキー押して送ったというその瞬間に、ものすごいスッとする。カタルシスありますよ。

松原■ある種、直接行動への欲望も満たしているわけだな。

橋本■直接火炎瓶投げようか、投石しようかというフラストレーションの代替行為ね。

松原■でも、実際には大統領は読んでるわけじゃないだろうけど。

橋本■読んでない。でもそれでも一応、儀礼的なリターンメールは来ますよ。「貴方の合衆国への熱意には感謝します」ってね。でも、とにかく送ったということで、達成感あるんですよ。その瞬間で怒りが納まっちゃってる自分を冷めて見て、「ああ、俺も羊なんだな」って。(笑)

松原■それが直接民主制の罠ってことか。直接民主制って、一票の重みってじつはないんだけど、なんか民衆の満足を呼ぶ幻想があるんでしょうね。

橋本■ネット時代の人民のコントロールに、直接民主制は最適でしょう。アメリカの情報公開のやり方って、じつに姑息でうまい。ホントに出せない部分は、周到に隠蔽してるにもかかわらず、あたかもあらゆる情報を公開してる風に見せちゃう。それを日本人が鵜呑みにして、結果として日本政府がバカみたいになんでも情報公開しちゃったら、大変なことが起こるだろうなって、一国民として老婆心ながら進言しておきます。

松原■べーカー国務長官の回顧録なんか読んでも、湾岸戦争の時に、初めて米ソが協調してそれが冷戦の集結に至ったその経緯だとか、そういう裏話を全部公開してるように読めるんだけど、そんなはずなくって、ああいう告白ネタで民衆をだますワザってたいしたもんですよ。退官からたった四年で回顧録出しちゃうという早業だからこそ、十分世論の指示を得られるんでしょうね。

 日本は出したところで毒にも薬にもならないような、つまんないモノ、どうでもいいようなモノから、超ヤバイモノまで、何の考えもなしに全部しまい込もうとするから、ダメなんですよ。


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