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特集■共生の時代
幕張企業の経営者に聞く

地域をつくり、街をつくる
あたらしい市民意識の時代へ(2)



ダウンタウンの活性化で
都市に住む人の豊かな街づくりを


 街というのは、そこで生活する人たちに便利でなければ、街ではないんですね。日本の従来の街の中の商店街は、モータリゼーションには全く関係なくできてきていたわけです。したがって、車でそこに来る人に対しては、非常に不便なものとなってしまって、取り残されてしまっているところがあります。戦前の町並みには美しいものが残っている場所もあります。しかし、日本の大部分は戦後の街であって、それは決してきれいに整備された街じゃないんですね。

 そういう街の中のダウンタウンの活性化は、これからの都市的なコミュニティの形成にとっては重要な問題です。地方都市でもダウンタウンに住民がいなくなっています。商店街の人たちも、自分たちはそこに住んでいない。そういう街が全国にあります。この街を利用する人の利便性を考えて、もう一度活性化させて、商業が集積されたダウンタウンとしての魅力を創っていかないとならないでしょう。

 いままで日本の場合、大規模小売店舗法という規制がありました。このため、郊外のロードサイドに規制ぎりぎりの、一五〇坪以下の専門量販店が、スポーツ用品、靴、紳士服と、バラバラに並んでいた――これを私は、大店法の徒花と言ってるんです。これからはもう少しきちっとした形で、例えば百貨店やショッピングセンター、そして専門店が一緒になって、一つの商業集積をつくっていくとか、地域のなかでの共生共存の努力が必要ではないか。住む人の消費環境をもっと豊かにするような、新しい商店街や、新しい街づくりが求められていると思います。

 それから一方では、伝統的な古いよさが残っているところはできるだけ残すということ。どんどん国際化していく中で、もう一遍、日本独特のいいものをもっと残そうではないかと。古いきちっとしたものが残っているところは、そういうものを残すことによって価値が上がっていくと思うんです。

 例えばロンドンの郊外に行きますと、非常に古い建物でありながら文化的な香りのするものが残っているんですね。ロンドンの郊外でも、古い建物の外装を生かして、中にエスカレーターなどの設備を新しくつけ替えて、非常にいいショッピングセンターができているというのもあるんです。

 最近では、フィリピンあたりのショッピングセンターのほうが、日本のロードサイドに並んでいる店より、はるかにセンスがいい。東南アジアの他の国々も同様です。じつに色使いがきれいで、現代的なセンスもどんどん取り入れて、見て歩いて楽しい、きれいな町並みをつくりつつありますね。デザイン面では、いまのままでは日本は、アジア諸国に立ち後れていくでしょう。もっと頑張らなければいけないと思います。



いち早く時代を捉えた地域の変化から、
あたらしい街づくりが始まっていく


 これからは、毎日の買い物ひとつにしても、カナダの水もあれば、フランスの雑貨もあり、地元ならではのおせちの材料にも事欠かないといった、グローバルとローカルの、両方が交錯したモノと情報の提供が、どこの地域においても、生活の価値観のなかで不可欠なものになっていくのでしょう。また、通信販売や無店舗販売は、これからいっそう広がりをみせていくでしょうし、そうするとこれまで我々が考えてきた「街」とか「都市」とか「コミュニティ」のあり方も、大きく変わってくる、これは当然だと思うんですね。

 最近では、製造業の空洞化ということで、地域の工場立地が、サービス産業の立地へと変わるケースが数多くある。それによって、新しい地域の需要が掘り起こされ、活性化が生まれることになるが、最大の問題は地価です。今後、日本の高い地価が、国際的な水準へと少しでも下がっていくなかで、地域はいっそう大きく変化していくと思います。そういう変化が速いところで、新しい街づくりが、いち早く進んでいくということでしょうね。

 ただ、これからは、お上に任せっきりとか、大企業の力によりかかってとかでなく、地域のなかで、いろんな人たちが協力しながらつくっていかなきゃならんという、そういう時代を日本も迎えているんだと思います。(談)

(1995年秋)


おかだ・たくや●1925年生まれ。早大在学中に家業の岡田呉服店(のち岡田屋と改称)社長に。1970年三社合併によりジャスコを設立、初代社長に就任。1984年より現職。現在、東京商工会議所副会頭、日本商工会議所特別顧問、日本小売業協会会長、社団法人日本ショッピングセンター協会会長等を務める。


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