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特集■共生の時代
幕張企業の経営者に聞く

地域をつくり、街をつくる
あたらしい市民意識の時代へ(1)


岡田卓也■ジャスコ株式会社代表取締役社長


戦後五十年、日本人はようやく成熟した
市民社会の時代を迎えているのではないか


 日本の民主主義というのは、まだ歴史が浅いわけです。それぞれの市民、企業が国に頼らないで、自分たち自身で、自分の街、自分の国をよくしていこうという行動を起こすのが、成熟した民主主義だろうと思うんですが、日本はまだそこまで行っていない。まだまだお上思想が強いところがあって、何かあると国や自治体に何とかしてくれと。いまの経済不況にしてもそうですね。すぐ政府に景気対策を要求する。しかし、アメリカとかヨーロッパ先進国のほうが、はるかに民主主義の歴史は長いわけで、やはり教えられるところが多分にあります。

 ミネアポリスにはたびたび行きますが、ここは非常に教えられるところの多い街です。スリーエムをはじめ、優れた社会的貢献の理念をもった企業が数多くある都市で、アメリカでいちばん早く「5%クラブ」というのを唱えて実行した。デイトンハドソンという百貨店も、ミネアポリスなんです。

 デイトンハドソンが買収されかかったときには、地域に貢献した企業を守ろうというので、州法まで変えて阻止したという歴史があるくらい、地域に尊ばれている立派な会社なんですね。そんなことを、やはりミネアポリスにある私どもの事業パートナー、総合食品会社ゼネラルミルズの経営者から教えられまして、アメリカでも流通業が率先してそういうことをやってきたということを知って、非常に感激したんです。

 このことに大変勇気づけられ、やはり地域への貢献は流通業からだと意を強くし、いまから六年前に「イオングループ1%クラブ」というのを発足させたり、また「イオングループ財団」をつくったりしてきたわけです。そして、私どもが支援している皆さんや、ボランティアに取り組む社員たちの、具体的な活動や考え方の変化を目の当たりにしまして、このタイミングは、決して早すぎなかったと感じています。

 少し前に、モンゴルの砂漠地帯に種をまいて木を緑にするという運動の参加記事が新聞に出ていて、私の秘書が、新聞を見てすぐ電話をかけたところ、「もう満員です」と言われた。それほど反響があったんです。結局、彼女は参加することができたんですが、どんな人が来てたかと聞くと、学生から、定年退職した人から、あらゆる層なんですね。トイレもあるかなしかのところへ、参加費二十二万円払っても行くという人が、それだけいるということは、世の中が我々の想像以上に変わってきているということでしょう。

 ようやく自分らで何かやらなければ、ひとりひとりが行動を起こさなければ、という意識が日本のなかでも高まってきていると実感しています。



あらたな地域意識が、環境への関心の
高まりのなかに生まれている


 二十一世紀のキーワードは「環境」であり、二十一世紀は環境の風が吹き続けるだろうと考えてきたんですが、日本でもこの数年のあいだに、地域や環境というものに対する国民の意識は、大きく変わってきていると実感しています。最近、地域共生とか地域の時代とか言われますが、実感として、自然や環境を大切にしたいという意識の高まりのなかから、ひとりひとりの市民の地域意識もまた、あたらしい発展をみせはじめているように思います。

 その根底には、九〇年代に入って生活者それぞれが、みずからの生活のなかで、みずからの意識というものをはっきり持つようになってきたということがあるでしょう。自分自身の個性を重視するようになって、また国際化の中で海外からのいろんな情報もどんどん入ってくることで、生活そのものの価値観が大きく変わってきた。

 例えば、車やキャンプ用品などの、アウトドア志向をみましても、生活の中に自然や環境に関係のあるものごとが、商品というかたちを取ってですが、どんどん入ってきているわけです。

 先進国の中でも日本は、花に対する消費というのは非常に低かった。それが、いま急速に伸びてきています。アメリカ人は、ゴルフに使うのが一五〇〇億ドル、園芸に使うのは五千億ドルと、園芸に三倍もお金を使う。日本でも花を生活の中に飾ったりとか、自然と触れあいたいという傾向が強くなってきていると同時に、環境問題そのものにも関心が高まってきていると思います。

 例えば、私どもがショッピングセンターをオープンさせる際に、地域の住民の方に参加していただいて植樹祭というのをやります。そうしますと、自分で植えた木は、その後もずっと気にかけられるんですね。最初は小さな苗木でも、二十年、三十年たちますと、ほんとうに立派な木に育ちます。毎年の育樹祭にも、植樹祭に参加された方がたくさん来られて、水をやって、肥やしをやって、草を抜いて、自分の植えた木がどれだけ大きくなったかということに関心を持っていただける。それぐらい関心度が非常に高くなってきたんです。それが、緑を大事にしようということですし、環境をつくっていこうということだと思います。


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